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小話

2013.08.27 (Tue) Category : from携帯

草太のはなし



草太くん偉いね。かごめが休んでる間の勉強を心配したり、かごめが忘れ物すると学校まで届けてくれたり…しっかりものの弟をもって、かごめはしあわせものだね。


…違うんだよ。
僕、全然しっかりしてないんだよ。
しっかりしてて、頼りになるのは、いつだって姉ちゃんなんだよ。


明るくて、時々おっちょこちょいで、考えてることが表に出るタイプだったから、テスト勉強に慌てた姉ちゃんは、周りにはちょっとぬけてるように見えていた。
僕もそうおもうけど、でも、みんな知ってる?
僕の姉ちゃん、いざと言う時、すごく勇敢なんだ。
すごく頼もしくて、すごく優しいんだ。

犬のにいちゃんとは、小学生の僕からは憧れだった。
危ない時には助けに来てくれるし、強いし。姉ちゃんとはケンカしながらなんだかんだ仲良さそう。

その犬のにいちゃんと、姉ちゃんは恋人同士だったらしい。
…ということをはっきり認識した頃には、犬のにいちゃんとは(恐らく一生)会わなくなっていた。

代わりに、姉ちゃんが帰ってきて、戦国時代と行き来してたときと比べて一緒にいる時間が長くなった。
姉ちゃんが帰ってきて本当に嬉しかった。

でも、それは、たった3年の間だけだった。

姉ちゃんは、あっちの世界を、犬の兄ちゃんのいる世界を選んで、うちの家から去っていった。

ママから、その事を告げられた。
突然だった。
僕には何も言わずに…いや、言っていたのだろうか。言っていたのかも知れない。あっちの世界へいく予兆のような言葉を。でも僕には全然心当たりがなかった。

もうこれからずっと、姉ちゃんに会えないのだろうか。

同級生から男女の関係だの恋愛話だのを聞いたりすると、犬のにいちゃんと姉ちゃんに重ねてしまって、複雑な気持ちだ。


あの時、祠の井戸がなんとなく怖くて、姉ちゃんに行かせてしまった。もしあの時、姉ちゃんに頼っていなかったら。
僕がもっとしっかりしていたら。
姉ちゃんは、向こうの世界の嫁になんて、行くことにはならなかったろう。

高校を卒業し、そして犬の兄ちゃんのもとへ行ってしまった姉ちゃん。
時代を行き来していた時の姉ちゃんは、一体どれだけの力があったのだろう。

祠の井戸の向こうは相変わらず真っ暗で、除き込むと土と冷気が混ざったような匂いがするだけだ。

そして僕はもうすぐ、15歳になる。



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